こんにちは、おぐりんです。「人の悩みはすべて人間関係である」――これはアドラー心理学の中心的な考え方のひとつであり、僕自身がとても共感している言葉でもあります。今回は、アドラー心理学の中でも特に重要で、かつ日常に活かしやすい考え方である「課題の分離」について、自身の体験を交えながらご紹介したいと思います。「課題の分離」とは?課題の分離とは、「これは誰の課題か?」を見極め、その課題の主体者に委ねるという考え方です。たとえば、子どもが勉強しないことで悩む親は多いと思いますが、「勉強するかどうか」は子どもの課題であって、親の課題ではありません。親はあくまで環境を整えるサポートはできても、代わりに勉強することはできないのです。また、職場でもよく見かけるのが「後輩が仕事を覚えない」「同僚が協力してくれない」といった悩みです。しかし、これらもまた本質的には「相手の課題」。自分にできるのは、サポートの姿勢を見せることや、環境を整えることまで。最終的に動くかどうかは、その人次第なのです。僕の体験──小学生の頃の「主張」と先生との関係僕は小学生の頃から、思ったことを率直に言ってしまうタイプの子どもでした。たとえば、当時通っていた小学校ではシャープペンシルの使用が禁止されていたのですが、僕はその理由が納得できず、「なぜ使ってはいけないのか?」と先生に質問したことがありました。返ってきたのは「ルールだから」という説明だけ。僕はその説明に納得できなかったので、結局その後もシャープペンシルを使い続けていました。当然先生にはよく思われなかったと思いますし、反抗的な子どもだと見なされていたかもしれません。でも今振り返ると、そこには「課題の分離」がうまくなされていなかったことが原因だと思うのです。英語の授業での反発──「学ばない自由」と「責任」中学生・高校生時代の英語の授業も、僕にとってはモチベーションが湧かない時間でした。なぜなら、英語が自分の将来に必要だと感じられなかったから。田舎育ちだった僕は、外国人と出会う機会もなく、「英語を学ぶ意味」を見出せなかったのです。授業中に寝てしまうこともしばしば。もちろん、授業中に他の生徒に迷惑をかけていたなら反省すべきですが、寝ていただけであれば、それは「学ばない」という僕自身の選択であり、僕の課題でした。結果として、大学受験で英語の成績に足を引っ張られたのですが、それは僕自身の責任。やる気がないのにやらされることよりも、「自分の課題」として後から向き合ったほうが、学びの質は高まると実感しています。先生にとっても、それは「僕の学力を上げる」という課題ではなく、「僕が学びたいと思った時に支える」ことこそが本来の関わり方だったのかもしれません。「勉強しなさい」ではなく「なぜ学ぶのか」を一緒に考える親が子どもに「勉強しなさい」と言っても、本人にその必要性が伝わらなければ意味がありません。むしろ反発を生み、親子関係が悪化することもあります。課題の分離を考えると、親ができるのは「どうしたら子どもが勉強の必要性を感じられるか」を考えること。そのために、たとえば数学が使われている現場を一緒に見学するなど、「体験」を通じて気づきを促すことが効果的です。また、親自身が学ぶ姿勢を見せることも、子どもにとって大きな影響となります。強制よりも対話、命令よりも共感。そうした関係づくりの中でこそ、子どもは自らの課題に向き合えるようになります。冷たい? いや、むしろ優しい「課題の分離」課題の分離は、一見すると「突き放す」「関係ない」と言っているようで冷たい印象を持たれるかもしれません。しかし、僕はむしろこの考え方はとても優しいと思っています。なぜなら、「これはあなたの課題です」と伝えることで、その人が本当に自分の力で問題に向き合えるようになるからです。無理やり解決策を押し付けるのではなく、相手の立場に立って「どうしたらその人が自分の課題だと気づけるか」を考えることこそ、真の思いやりだと思います。また、自分が抱えるストレスも減ります。相手の課題まで背負い込もうとすると、どんどん自分の心が疲れていくからです。課題の分離は、相手の自立を促し、自分自身もラクになる――まさに人間関係の処方箋だと感じます。人間関係をラクにするための視点日常で「○○してよ」「○○すべきだ」という言葉を使う場面があると思います。でもその多くは、相手の課題に対して自分が勝手に期待しているだけかもしれません。そのことに気づけると、不要なストレスから解放されます。「これは自分の課題か? 相手の課題か?」と一度立ち止まって考えるだけで、人間関係はぐっとラクになります。また、相手に何かをしてほしいと思ったときも、頭ごなしに「してよ」と言うのではなく、「してもらえたら助かるな」と気持ちを伝えることで、相手に選択の余地を与えることができます。これも、課題の分離の実践です。まとめ課題の分離とは、「誰の課題か?」を明確にして切り分ける考え方他人の課題に口出しするより、自分にできるサポートを考える教育や育児でも「押し付ける」のではなく「気づかせる」姿勢が大切「冷たい」のではなく「優しい」アプローチである自分と相手、それぞれの責任を尊重することで、関係がうまくいく人間関係に悩んだとき、ぜひこの「課題の分離」を思い出してみてください。あなた自身も、相手も、もっと自由に生きられるようになるかもしれません。本記事は、「コラム記事の達人」を活用し、録音した音声データから約10分で作成しています。「コラム記事の達人」は、nukumo社が提供する業務改善ツール「Aidia」の一機能です。