こんにちは、おぐりんです。“You do not rise to the level of your goals, you fall to the level of your systems.”──ジェームズ・クリアこの言葉、改めて考えてみると、深い気づきがあります。「目標を立てれば人は変われる」と信じたくなります。でも実際には、どんなに立派な目標を掲げても、日常の仕組みが変わらなければ、私たちは変われない。むしろ、変わらない日常に引き戻される。「毎日本を読むぞ!」と決意しても、寝る前にスマホを見続ける習慣がある限り、なかなか実現しない。目標は方向を示してくれるけれど、実際に私たちの行動をつくるのは“システム”──日常の選択を自動的に形づくる仕組みです。それは、私たちが思っている以上に無意識の中に根付いていて、自分ではコントロールできない領域にあるもの。だからこそ、仕組みが整っていないと、どれだけモチベーションを高めても、行動が伴わない現象が起きるのです。意識が変われば、習慣は自然に変わる私自身、「行動を変えよう」と何度も思ったことがあります。でもうまくいかない。そう思い続けていたあるとき、「あれ、これって意識が変わってないからじゃないか?」と気づいた瞬間がありました。強烈な体験や失敗。人との出会いや、世界の見え方が変わるような経験。それらを通して、いつの間にか「やろうと思わなくても、自然にやっている」状態が生まれる。意識が変わると、行動は勝手に変わっていく。私が大事にしているのは、この“無理なく変わる”感覚です。誰かから「変わらなきゃ」と言われて変わることは、どこかに無理が生じます。でも、自分の中で腑に落ちる瞬間、心の奥で「これは必要だ」と感じたとき、私たちは無意識に行動を変え始める。これは、小さな一歩でも確かな変化につながっていくプロセスです。でも意識は設計できない。だからこそ、条件をデザインするとはいえ、意識を「変えよう!」と思って変えられるなら、誰も苦労しません。意識は操作できない。だからこそ、「変わってしまう条件」を設計することが大切だと思っています。教育の現場でも、私が意識しているのは、“気づきが自然に起こる構造”をどうつくるか。ちょっとだけ勇気を出せば踏み込める人間関係立ち止まって内省したくなる余白誰かの問いが自分の価値観を揺らす瞬間これらは全部、目標ではなく「環境=システム」です。さらに言えば、「無理をしないこと」も重要です。自己変革のプロセスにおいては、どこかで無理がかかっていると続きません。むしろ自然と習慣化されるためには、環境自体がやさしく、自分を受け入れてくれるような設計であることが不可欠です。行動は、所属する仕組みによって決まる人は意志で動くより、環境に沿って動く生き物です。だからこそ、「どんな意識を持つか」より、「どんな仕組みに身を置くか」の方が実は大事なのかもしれません。私自身も、「何かを頑張る」より、「自然とやってしまう」環境づくりに重きを置いてきました。強制ではなく、選びたくなる仕組み努力ではなく、惹かれる方向へのデザイン毎日のリズムの中に、少しだけ「やりたくなる」「続けたくなる」仕掛けがあるだけで、継続のハードルは一気に下がります。たとえば、机の上に常に本が置いてあるだけで読書が始まる。ノートが開いていれば、思考を書き出すハードルが下がる。小さな設計が、大きな変化を導いてくれるのです。教育って、そういう「意識が変わってしまう場」を設計することなんじゃないかと思うのです。目標は方向、仕組みが現実目標を持つことは大切。でも、それに向かう日々の仕組みがなければ、ただの理想で終わってしまう。だから私は、「目標を持て」とはあまり言いません。「どんな仕組みがあれば、それが自然に実現していくか?」を一緒に考えたいと思っています。仕組みが変われば、習慣が変わる。習慣が変われば、結果が変わる。でも、その始まりはいつだって、「変化が自然に起きてしまう条件設計」から始まるのではないでしょうか。目標に向かってひたむきに努力する姿勢も美しいものです。ただ、その努力が“苦しさ”と結びついてしまうのではなく、“自然さ”とともに流れていくような仕組みがあれば、人はもっとしなやかに変わっていけるはずです。今日、あなたが属する環境は、どんな意識を育てていますか?