こんにちは、おぐりんです。「論理は証明のため、直観は発見のためにある」――数学者アンリ・ポアンカレの言葉です。この一文を初めて読んだとき、僕は強い共鳴を覚えました。なぜなら、自分のあらゆる行動や決断の中で、まさにこのバランスを意識してきたからです。直感で始め、論理で確かめる。その循環こそが、僕の創造の原動力になっていると感じています。この考え方を深めていくと、「直感と論理」は対立するものではなく、むしろ互いを高め合う“二重螺旋”のような関係にあると気づきます。この記事では、その具体的な構造と実践の形を掘り下げていきたいと思います。直感は“始動のエネルギー”アイデアの多くは、説明できない「これ、なんか面白いな」から始まります。ビジネスでも、人との出会いでも、最初の火花は理屈ではなく感覚。そこにあるのは、右脳的なワクワクです。直感とは、外からの情報を超えて「自分の中の何かが反応する瞬間」でもあります。僕が企画や発信を考えるときも、最初の判断はたいていロジカルな分析よりも感覚です。たとえば、新しいプロジェクトを始めるときに「これは流行りそうだ」ではなく、「これは心が動く」と感じられるかどうか。そこに、直感の力があります。言語化できない感覚を起点にするからこそ、思考が自由になり、創造が広がるのです。でも、そのワクワクは往々にして曖昧です。根拠もないし、再現も難しい。ただ、それを無視してしまうと、新しい発見は生まれません。直感は、未知の世界に踏み出す“スタートボタン”のようなもの。頭で考える前に、まず感じることが、創造の入口になるのです。直感を信じるというのは、単なる感情的な行動ではありません。むしろ、自分の経験・知識・無意識が総動員された“瞬間の総合判断”なんです。これは心理学者ゲイリー・クラインが提唱する「熟達者の直感」とも重なります。経験を重ねた人ほど、無意識の中で情報を処理し、瞬時に判断できる。つまり、直感とは「高速な知性」でもあるのです。論理は“持続と共有の装置”とはいえ、直感だけでは走り続けられない。ビジネスであれば失敗すれば大きなダメージを負うし、誰かを巻き込むには再現性が必要です。だからこそ論理がいる。論理は、直感で生まれたエネルギーを他者と共有し、形に変えるための装置です。僕にとって論理とは、「直感を他者とつなぐ翻訳機」でもあります。直感が“内なる炎”だとすれば、論理はそれを燃やし続けるための炉のようなもの。エネルギーを持続させ、他者に伝えるためのフレームなのです。たとえば、何かを話すとき。最初に熱量や感情で語った方が、人の心は動きます。でも、それだけでは一過性の共感で終わってしまう。だから次に、「なぜそう思うのか」「どう機能するのか」という説明を添える。すると、感情で共鳴した人が、今度は理解で納得してくれる。これはプレゼンでも教育でも同じ構造です。ワクワクで入口を開き、論理で扉を固定する。これが、右脳と左脳をつなぐ最も自然な設計です。また、論理は「自分の直感を検証する場」でもあります。直感で得た発想を、他の視点から点検する。その過程で気づくズレや違和感こそが、次の発見を生む。だから、論理は“直感の安全装置”でもあり、“再創造の起点”でもあるのです。直感→論理の“人間的順序”実はこの順序、人間の脳の構造にも沿っています。心理学では「デュアルプロセス理論」と呼ばれる考え方があります。人間の思考は、感情的で直感的なシステム1と、分析的で論理的なシステム2の2系統で動いているというものです。そして、人はシステム1(直感)が動いてから、システム2(論理)が起動する。つまり、感情で心を開いてから、理屈で理解する。この順序を無視すると、人は“理解”できても“納得”できない。逆に、直感を起点にして論理で補うと、心も頭も動き出す。僕が「右脳ファースト・左脳ロック法」と呼ぶ発信設計は、この構造に基づいています。この方法は、スティーブ・ジョブズのプレゼンにも通じます。彼はいつも「感情→構造→証拠」の順で語りました。感性で共感を生み、論理で確信を与える。つまり、感性と論理の橋渡しこそが、人を動かすコミュニケーションの本質なのです。右脳ファースト・左脳ロック法直感で入口を開き、論理でドアを固定する。感性で惹きつけ、理性で支える。この二段駆動こそが、人の心と頭を同時に動かす鍵だと思っています。右脳を先に刺激することで、聴き手の“受け入れ体勢”が整い、その後に左脳で理解を固める。だからこそ、最初の一言・導入のエモーションがとても重要なんです。プレゼンや教育の現場でもそう。最初に「ワクワク」や「問い」で右脳を開く。そして、その後に「理由」や「データ」で左脳を支える。すると、人は共鳴と納得の両方で動き出すんです。この流れは、創造や発信だけでなく、チームづくりやAI設計のような分野にも応用できます。直感で方向を定め、論理で再現する。その往復の中で、学びも発見も深まっていくのです。教育設計で言えば、「感性で引き込み、構造で理解させる」授業が、最も記憶に残るとも言われています。さらに言えば、このモデルはAI時代における人間の強みを再定義するヒントにもなります。AIは論理の天才ですが、直感や感情に基づく“始動のエネルギー”はまだ人間の領域です。だからこそ、僕たちは直感を磨き、論理で支える。この二段構造を自覚的に使いこなすことで、創造の主導権を持ち続けられるのだと思います。感性と論理の“循環”が生む創造ポアンカレの言葉に戻るなら、論理は証明のためにあり、直観は発見のためにある。この二つはどちらかが優れているわけではありません。直感は未知を開き、論理はそれを他者と共有する。両者が循環するとき、創造は再現可能になる。つまり、直感が未来を拓き、論理がその未来を形にするのです。僕はこれを「感性駆動ロジック」と呼びたいと思います。感性で始め、論理でひらく。創造とは、その往復運動なのです。直感と論理の間を行き来することで、僕らは“感じる力”と“考える力”を同時に鍛えられる。そして最後に伝えたいのは、直感を軽視しないこと。直感は根拠のない思いつきではなく、“まだ言語化されていない真実”の断片です。それを丁寧に拾い上げ、論理で磨いていく。そのプロセスこそが、人が創造的に生きるということなのではないでしょうか。あなたにとっての“直感の瞬間”は、どんなときですか? その感覚を言葉にしてみると、きっと新しい発見が待っているはずです。